

なぜうなぎを食べるのかは後で話すとして、暦の上で「土用の丑」とはいったいどういう日なのでしょうか?
これは、古代の中国から伝わった五行説(ごぎょうせつ)に由来します。五行説では、天地間のすべての出来事はすべて木火土金水(もっかどごんすい)の五つの要素からなり、その盛衰、消長などによって定まると考えます。たとえば、夏は火の要素があるから暑いといったものです。五行説はもともと天の5惑星から考え出されたようですが、科学的根拠はないようです。五行説では、あらゆるものを木火土金水の五つに分類して当てはめます。四季もこれに当てはめようとしました。春を木、夏を火、秋を金、冬を水に対応させたまではよかったのですが、土が余ってしまいました。これでは都合が悪いので、春夏秋冬からそれぞれ終わりの18日を削り、合計72日を土の分として割り当てることにしました。
つまり、これが土用です。したがって土用は夏だけではなく、春、秋、冬にもあります。ただ、昨今は夏の土用だけが暑い季節として話題になり、その他の土用はほとんど取り上げられることはありません。
現在は、太陽黄経がそれぞれ27度、117度、207度、297度に達した日を土用の入りの日とし、立夏,立秋,立冬、立春の前日までを土用としています。そのため、それぞれの土用の日数は必ずしも18日ではなく、19日のこともあります。一方、丑の日は、子丑寅卯・・・の十二支を1日ごとに割り当てていった日の一つですから、12日ごとに回ってきます。したがって、夏の土用の間に,丑の日が1回だけの年と、2回くる年とがあります。
なぜ土用の丑の日にうなぎを食べるのか?
一説には江戸時代の発明家平賀源内が売れない鰻屋のCMとして≪本日は土用の丑≫として宣伝したと伝えられています。この宣伝説はもう一つあって、江戸時代の狂歌師、蜀山人が段々衰徴していた鰻屋の盛り返しの一策として土用の鰻の効力があると言い、特に丑の日には鰻は食あたりせぬといった意味の狂歌をつくって宣伝したのが始めであるという話もあります。これらの二つの宣伝効果は絶大でした。
当時の奇才達が宣伝したので、一般庶民はあの方が言うなら何かあるに違いない!と早合点し、店に行列ができました。有名人を使った宣伝方法は現在と変わりませんね。
また江戸時代の本『天保侍話』には「丑は土に属す。土用中の丑の日は両土相乗ずるものなり」とあるから、夏季に真味を発する鰻を士気の最も旺盛なこの日に喰うと気力を養う効能があるとも言われています(昭和4年発刊「鰻通」より)。どれも決定的ではないのですが、これらの説をまとめると、江戸時代のうれない鰻屋が当時の名のある人を使い、また日本古来から日常生活と深く結びついた陰陽五行説にひっかけて、客を呼び込むという宣伝をしたことが、現在の土用の丑の日に鰻を食べるという習慣を作り出したと言えそうです。
ちなみにうなぎは夏バテ解消によいと言われてます。栄養価が高い魚で、白身魚ですが蛋白質20%、脂肪分21%と非常に多く、ビタミンB1、B2、Dも多いが、特にAが多量に含まれています。Aは夜盲症(トリ目)、皮膚のカサつき、骨や歯の成長に関係が深く、体力増強、強精食として、スタミナの必要な夏に適した魚です。土用の丑の日に鰻を食べる習慣は先人達の経験に基づいた生活の知恵である可能性もありますね。
『土用』とは本来、立春、立夏、立秋、立冬の前18日間をさしますが、現在では1年中で最も暑い時期の7月20日から立秋前日(8月7日頃)の夏の土用のことを言います。
『土用の丑の日』に鰻を食べると夏負けしないというのは、江戸時代、平賀源内が鰻屋に頼まれて書いた宣伝文、『土用の丑の日は鰻』から広まったそうです。
鰻はタンパク質や免疫力を高めるビタミンAを豊富なので、夏バテ防止に食べておきたい食べ物ですね。
皆さん、うなぎを食べてみませんか?
文献を調べた、蘊蓄でした。
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